ただ、「そもそもタッチパネルとはどのようなものなのだろう」と考える方も多いでしょう。本記事では「タッチパネルとは何か」を説明し、タッチパネルの仕組みや製造業での活用メリット、製造業向けタッチパネルを世界で初めて開発したPro-faceのおすすめ製品を解説します。
目次:
タッチパネルとは?
さまざまな用途に利用できるという特長があり、例えばスマートフォンやタブレット、ATM、自動車のナビゲーションシステム、デジタルサイネージ、ゲーム機などがあります。
また、タッチパネルにはさまざまな種類があり、それぞれで特性が異なるため、ここからは用途別のタッチパネルを紹介します。
主なタッチパネル
民間向け
タッチパネルは、生活するうえで触れるさまざまな機器に用いられており、次のような場面で使用されています。
- スマートフォン
- タブレット
- PC
- デジタルカメラ
- ゲーム機 など
フィーチャーフォン(いわゆるガラケー)の場合、携帯電話本体に備えられているボタンを操作しなければなりませんでした。スマートフォンは画面に直接触れて操作できるため、誰でも簡単に使用できる点が大きなメリットです。
また、飲食店のタッチパネル注文システムなどは、企業側は人的リソースを削減でき、また利用者側も気軽にセルフサービスで利用できるため、双方にメリットをもたらしています(1)。
民間向けのタッチパネルは、他にもさまざまな産業に応用されています。一例を挙げると、自動車のインフォテインメントやテレビ、冷蔵庫、スマート家電などです。5GやIoTの普及により、タッチパネルは今後も生活のあらゆる場面で用いられることになるでしょう。
公共向け
タッチパネルは、公共の場や施設でも頻繁に用いられており、次のような場面で使用されています。
- 自動販売機
- 自動券売機
- 案内板
- ATM
従来の自動販売機や自動券売機の場合、多言語での表示や操作ができないものも少なくありませんでした。タッチパネルの場合、外国語の表示や音声アナウンスに簡単に対応できます。
さいたま市の場合、区役所庁舎にタッチパネル式多言語対応型デジタルサイネージを設置し、さまざまな言語で施策やイベント等の情報を発信しています(2)。このように、タッチパネルは民間だけでなく公共の場面においても普及が進んでいます。
産業向け
タッチパネルは製造業を含むあらゆる産業で用いられています。例えば、次のような場面で使われています。
- 自動化機器
- 医療機器
- POS端末
従来の場合、工場ではコントロールパネルやスイッチ、ボタン、アナログメーターなど物理的な方法で生産していました。工場の規模が大きくなると配線が複雑になったり、制御パネルに膨大な量のボタンやスイッチが配置されたりすることも少なくありません。
タッチパネルを導入することで複雑な配線や物理的な機器を減らせるうえに、生産現場の省スペース化に繋がります。また、リアルタイムで情報を表示できるため、生産プロセスの状態を即座に確認でき、問題の早期発見や効率的なモニタリングが可能です。
産業向けタッチパネルを含む製造業のDXは、経済産業省が推し進める「スマートファクトリー」の一つです(3)。いわゆる”第4次産業⾰命”に対応するためにも、タッチパネルの導入などでDXを進めていくことが求められます。
タッチパネルの仕組み
タッチパネルにはさまざまな種類があります。
- 抵抗膜アナログ方式
- 投影型静電容量方式
- 光学方式
- 赤外線方式
- 超音波表面弾性波方式
- 電磁誘導方式
それぞれに特長やメリット・デメリットが異なるため、タッチパネルを導入する際には、「自社に必要なものはなにか」を見極める必要があるでしょう。
抵抗膜アナログ方式
抵抗膜アナログ方式のメリット
耐久性にも優れています。工場では埃や水滴、油、化学物質などがタッチパネルの表面に付着することも少なくありません。抵抗膜アナログ方式は汚れが付着しても、比較的影響を受けにくいという特長があります。
さらに、導入コストが低いことや分解能が高いことも抵抗膜アナログ方式のメリットです。このような点が評価され、製造業において最も普及しているタッチパネルの一つです(5)。
抵抗膜アナログ方式のデメリット
また、電極膜の厚みや材質によって、光学的透明度が低くなってしまうこともあります。そのため、タッチパネルの製品や設置する環境によっては「見づらい」と感じる場合もあるでしょう。
投影型静電容量方式
投影型静電容量方式は高い精度と高解像度が主な特長であり、スマートフォンやタブレットなどのデバイスで広く使用されています(6)。
投影型静電容量方式のメリット
透過率が80〜92%と比較的高いためディスプレイも見やすく、画面を注視しなければならない医療分野などで利用されています(7)。
電極が複数に分かれているため、複数の指でタッチすると1本の指でタッチしたときとは異なる静電容量の変化を観測します。このような点からマルチタッチにも対応しており、複数の操作を同時に行うことが可能です。
投影型静電容量方式のデメリット
また、ノイズの影響を受けやすく、状況や環境によっては誤検出を引き起こす可能性があります。ノイズによる誤操作は「周波数ホッピング」と呼ばれる方法によって、周波数を変えることで軽減できます。
さらに、アナログで触れていた汚れ等による誤動作もデメリットの一つです。
光学方式
光学的透明度が高く、画面を鮮明に表示できるという特長があります。
光学方式のメリット
マルチタッチにも対応しており、投影型静電容量方式と同様に複数の同時操作が可能です。さらに、シンプルな構造であることから大型化しやすいというメリットもあります。
光学方式のデメリット
また、外部光や照明、虫などの影響を受けやすく、誤検出を引き起こす場合もあります。照明が頻繁に使用される工場や屋外では、タッチ入力を誤って検出することもあるでしょう。
赤外線方式
カメラが反射光を検出し、タッチされた部分の位置を計算するという仕組みです。
赤外線方式のメリット
また、大画面のディスプレイにも対応しやすく、マルチタッチも可能です。センサー部分に触れることがないため、高い耐久性も誇ります。
赤外線方式のデメリット
また、光学方式同様、光や虫、埃など異物にも反応してしまいます。加えて分解能が低いという課題もあります。
超音波表面弾性波方式
超音波表面弾性波方式のメリット
パネル表面がガラスであることから傷に強く、耐久性が高いのもメリットの一つです。手袋による入力やマルチタッチも可能です。
超音波表面弾性波方式のデメリット
また、指や手袋といった弾性波を吸収できるものでないと操作が難しいのもデメリットの一つです。
電磁誘導方式
電磁誘導方式のメリット
筆圧に応じて線の太さを滑らかに調整でき、さまざまな描画が可能になります。
電磁誘導方式のデメリット
また、磁気ノイズに弱い傾向があります。周囲に磁場を生成する要素がある場所では、正確な動作が妨げられる可能性が懸念されます。
製造業でのタッチパネル
HMIとの違い
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配線工数の削減と省スペース化
また、タッチパネルはコンパクトでフラットなデザインであることが多く、工場内の省スペースにも役立ちます。
装置の改造に柔軟な対応が可能
タッチパネルの場合、新しい機能を追加したりボタンの配置を変更したりすることは簡単です。例えば、新しいセンサーやアクチュエーターを追加した場合でも、タッチパネルを操作することで簡単に制御できるようになります。スイッチやボタン、配線などが増えることは基本的にありません。
インバーターやロボットなどと通信が可能
タッチパネルはさまざまな通信プロトコルや機器との統合をサポートし、ソフトウェアを介してデータを通信できます。異なる機器間でデータを簡単に共有でき、設定値の調整やリアルタイムなモニタリングも比較的簡単です。
インバーターやロボットといった自動化機器との連携も容易にできるようになります。タッチパネルとこれらの機器間でデータ通信が可能になると、生産ラインの効率向上や遠隔操作の実現にも役立ちます。
タッチパネルの選び方
タッチパネルにはさまざまな種類があります。大切なのは、自社にとって必要なタッチパネルを見極めることです。
見極める際のポイントは、次の5つです。
- 品質
- タッチ操作
- 使用環境
- サポート
- 耐久力
品質
まずは品質に注目してください。品質を見極めるうえで確認したいのがISO 9001です。ISO 9001は世界で最も普及しているマネジメントシステムの規格で、170以上の国と100万以上の組織が利用しています(8)。
ISO 9001を取得するためには、以下の2点を認められなければなりません。
- 一貫した製品・サービスの提供
- 顧客満足の向上
したがって、ISO 9001を取得しているということは一定基準以上の品質が保たれており、顧客満足の向上に努めているサービスであるといえるでしょう。
タッチパネルの仕様書を確認することも重要なポイントの一つです。仕様書には解像度や精度、耐久性、反応速度などが記載されています。
タッチ操作
実際にタッチパネルを操作して、次の点も確認しましょう。
- 指だけで反応するか
- 操作感が軽いか(スムーズに動くか)
- マルチタッチできるか
- 耐久性や耐摩耗性があるか
- 分解能は高いか など
工場によっては手袋を着用して作業する現場も少なくありません。反応しないものが多いタッチパネルの場合、毎回手袋を外さなければならず、使いづらさを感じる場合もあるでしょう。
UIによって異なりますが、マルチタッチできるか(複数の指で同時に操作できるか)も確認しましょう。複数の操作が同時に必要な場合、マルチタッチできるタッチパネルのほうが使いやすい可能性もあります。
耐久性や耐摩耗性、分解能にも注目してください。分解能が高ければ高いほど操作しやすくなり、細かなタッチが可能になります。
使用環境
製造現場によっては、騒音や振動などのノイズが発生することもあります。ノイズの多い環境では、光や埃、虫などの影響を受けにくいタッチパネルを選ぶことが重要です。
サポート
タッチパネルの設置やトラブルシューティング、メンテナンスに関する専門的な技術サポートが提供されるかどうか確認しましょう。
耐久力
通常の環境下でも、タッチパネルを使う回数が多い場合、表面が摩耗する可能性があります。従業員やタッチパネルを操作する人員が多い場合、耐摩耗性が高いものや寿命が長いものがおすすめです。
Pro-faceのタッチパネルの特長
Pro-faceは1989年に世界初のプログラマブル表示器(HMI)を開発してから、いわゆる”表示のプロフェッショナル”として高い評価を得てきました。ここではそのPro-faceのタッチパネルの特長を3つ紹介します。
- さまざまなOTやITに接続可能
- 豊富なラインアップ
- IoTトータルソリューションの提供
さまざまなOTやITに接続可能
一般的に、製造現場にはさまざまな機器が存在します。機器によってネットワークが異なる場合、接続性に乏しければ、タッチパネルに表示させられる情報が少なくなってしまいかねません。
Pro-faceのタッチパネルは、MESやエッジコンピューター、ERP、上位システムやクラウドといったIT(Information Technology)との統合もスムーズに行えるため、どのような環境においても使いやすく、高いユーザビリティーを発揮できるでしょう。
豊富なラインアップ
どのような製品も十分な評価テストを行い、多くの製品でISA/IEC62443に準拠したセキュリティーレベルに厳正に対応しています。
また、全世界で専門的なサポートを提供しているのもPro-faceの特長です。世界中にいるタッチパネルのスペシャリストが製品サポートやリペア、トレーニング、新しい提案といった幅広いサポートを提供しています。
ST6000シリーズ
16:9で画面が広く使えるワイドモデルでは15型ワイドから4型ワイドまでの5種類、旧機種からの互換性に優れた4:3モデルは10.4型と5.7型の2種類をラインアップしており、仕様や用途に合わせて選択可能です。
IoTトータルソリューションの提供
シュナイダーエレクトリックは、タッチパネルの導入だけでなく、IoTトータルソリューションを提供しています。タッチパネルを製造現場の中心にする「HMIセントリック」という考えのもと、データの収集や可視化・リモート監視・リモートメンテナンス・分析などを実現することで、お客様DXを強力に支援します。
さいごに
「タッチパネルを導入したいけれど、どのように選べばよいかわからない」
「タッチパネルの設置も含めて、工場をDXしていきたい」
このような不安やお困りごとがある場合、当社の「IoTソリューション」をご利用ください。専任のスタッフがお困りごとを解決に導きます。