IoTゲートウェイとは?メリットや比較ポイント、活用例を交えて分かりやすく解説します

IoT (Internet of Things)とIoTゲートウェイ
IoT化を進めるうえで重要な機器の一つがIoTゲートウェイです。IoTゲートウェイを導入することによってさまざまなデータの受信や分析が可能になり、生産性の向上や予知保全の実現を目指せます。
本記事では、IoTゲートウェイの意味、具体的な仕組みや役割、メリットなどを交えて分かりやすく解説します。

 

IoTゲートウェイとは

IoTゲートウェイとは
IoTゲートウェイは、コントローラー、センサー、スマートデバイスなどのIoTデバイスとクラウドとの接続ポイントとして機能する、物理的なデバイスまたはソフトウェアプログラムのことです(1)。異なるプロトコルや通信方式で動作するIoTデバイスからの情報を収集し、一元管理できるデータに変換するという役割があります。

IoTゲートウェイはデータの集約だけでなく、前処理やセキュリティー強化、遠隔地からのモニタリングを行う役割も担っており、工場をIoT化するうえでは欠かせない存在といえるでしょう。

また、エッジコンピューティングを実行するための計算機能も備えており、データをローカルで処理することで素早い意思決定をサポートします。

広義のゲートウェイに関しては、以下の記事で詳しく解説しています。

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IoTゲートウェイの仕組み

まず、IoTゲートウェイはIoTデバイスからデータを収集し、統一のフォーマットに変換します。次に、データの前処理や分析を行い、必要な情報だけを選別してクラウド等に送信します。そうすることで、異なるデバイス間のデータ収集やエッジコンピューティングが可能です(2)

IoTゲートウェイの役割

IoTゲートウェイには、大きく分けて2つの役割があります。
 

  • 収集したデータの中継
  • エッジデバイスの管理と制御

収集したデータの中継

IoTゲートウェイは、製造業においてデータの中継役割を果たします。例えば製造業の工場では、さまざまな種類のIoTデバイスが機械の運用データや環境データを収集しています。IoTゲートウェイの役割は、このような工場において膨大なデータをサーバーに転送することです。

中継することによって生産ラインのデータを確認しやすくなり、管理者は製造プロセスや機器の状態をリアルタイムに監視できます。

エッジデバイスの管理と制御

IoTゲートウェイは、エッジデバイスの管理や制御も行う役割を果たします。サーバーの指示をうけパスワードを更新してセキュリティを強化したり、ソフトウェアを最新版に更新して、収集するデータに不備がおこらないよう機器を管理することが可能です。

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IoTゲートウェイの接続方法

IoTゲートウェイの接続方法には、大きく分けて「有線接続」と「無線接続」の2種類があります(3)
 

特長有線接続無線接続
コスト設置と維持に費用がかかる場合がある有線接続より費用が安い傾向にある
拡張性低い高い
セキュリティー物理的な接続を介してデータを転送するため、信号干渉やデータ損失のリスクが低くなるとされているハッキングなど潜在的なセキュリティーの懸念がある
速度高速速度に制約がある
帯域幅高い低い
柔軟性低い高い
移動性低い高い

どちらが最適かは、製造現場の環境や接続の安定性によります。いずれの場合も、ゲートウェイ側にもしっかりとしたセキュリティー対策が必要です。

IoTゲートウェイとルーターの違い

IoTゲートウェイとルーターの違い
IoTゲートウェイと一般的なルーターの主な相違点は「通信規格」です。一般的なルーターの場合、インターネットやローカルネットワーク上でデータをパケットとして送受信します。

ルーターがデータパケットを適切なアドレスにルーティングされるようにする一方、IoTゲートウェイは異なる通信プロトコルを持つネットワーク間の間に入りデータのやり取りを行います(4)

IoTゲートウェイはBluetoothやZigbee、LoRaWAN、Ethernet 、4G/5G、さらにPLC等のコントローラーや上位アプリケーションと接続するためのプロトコルなど、さまざまな通信方式に対応することであらゆるIoTデバイスと連携が可能です(5)

IoTゲートウェイとエッジコンピューティングの違い

IoTゲートウェイとエッジコンピューティングの違い
エッジコンピューティングとIoTゲートウェイの主な違いは、データ処理の場所と範囲です。エッジコンピューティングはデータ生成源や近隣のデバイスで処理を行い、低遅延の優位性を提供します。

一方、IoTゲートウェイはデバイスからデータを収集し、サーバーに送信する”中継点”を意味します。エッジコンピューティングはデータ処理をローカルで行い、IoTゲートウェイはデータの中継と送信に特化しています(6)

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IoTゲートウェイ活用のメリット

IoTゲートウェイの活用にはさまざまなメリットがあります。ここでは以下で挙げる4つのメリットを詳しく解説します。

  • 生産性の向上
  • 機械の予知保全(予兆保全)
  • 工場のIoT化の加速
  • 一元的なセキュリティー対策

生産性の向上

IoTゲートウェイを導入することで、データの収集やデバイスの制御を一元化できるため、生産性の向上が期待できます(7)

IoTゲートウェイを導入していない現場では、データ収集を個別で行う必要があるため、リソースや時間がかかり問題の早期発見が難しくなる場合もあるため、故障や生産中断のリスクも高まるでしょう。

IoTゲートウェイを導入することでデータの自動収集とモニタリングが可能になり、問題の早期発見と迅速な対応が実現します。結果、効率的な製造プロセスが確立されるため、生産性の向上に繋がります。

機械の予知保全(予兆保全)

IoTゲートウェイを導入することで、機器からのデータをリアルタイムで収集できるようになるため、機械の正確な予知保全を目指せます。

例えば、モーターやベアリングの振動、温度、電流のデータを収集し、異常が検出されるとアラートが生成されるようになります。これらのアラートに基づいて、保守スタッフは異常を調査し、必要な修理や保守作業をあらかじめ予測できるでしょう。

また、機器にカメラやマイク、温度計などのIoTゲートウェイを搭載することで、データ解析が容易になります。機械の劣化や故障の予兆を検出し、定期的な保守作業を準備することが可能です。

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工場のIoT化の加速

IoT機器と情報システムが連携しやすくなるため、IoT化を大きく進めることができるでしょう。例えば、製造ラインにセンサーを設置することで、製品の生産データや品質情報をリアルタイムで収集できます。

データはIoTゲートウェイを介してクラウドベースの分析プラットフォームに送信され、高度なデータ解析や機械学習アルゴリズムによって、生産プロセスの最適化や品質管理に役立ちます。

一元的なセキュリティー対策

IoTゲートウェイは異なるIoTデバイスから収集されるデータを一元的に管理します。個々の機器を直接インターネットに接続した場合のセキュリティーリスクを回避できるため、セキュリティー対策にも有効です。
例えば、製造ライン上のセンサーやカメラから得られるデータは、ゲートウェイを通じてセキュリティーの厳格なデータベースに送信されます。

サイバー攻撃は年々増えており、2015年と2022年を比べると約7倍以上になっています。
サイバー攻撃は年々増えており、2015年と2022年を比べると約7倍以上になっています
例えば個々の機器がサイバー攻撃を受けると、大規模なダウンタイムが発生しかねないうえに、経営自体が脅かされる恐れもあるでしょう。トラブルやリスクを最小限に抑えたい場合、IoTゲートウェイの導入を検討するとよいでしょう。

Pro-faceのIoTゲートウェイ

Pro-faceのIoTゲートウェイ
Pro-faceはさまざまなIoTゲートウェイ機器を提供しています。その中でも、ここでは2つのIoTゲートウェイを紹介します。

IoTゲートウェイ STM6000シリーズ

Pro-faceのIoTゲートウェイ「STM6000シリーズ」は、クラウド(AVEVA™ Insight/MQTT)やMicrosoft SQLなど各種データベースとの接続、 OPC UA(サーバー/クライアント)にも対応したIoTゲートウェイです。

ネットワークを介して機器データを収集し、さまざまな形式でデータを自動収集することも可能です。生産情報をリアルタイムに入手し、データベースやアプリケーションと連携できます。

PLCデータ以外の機器データも収集でき、サーボモーターやインバーター、バーコードリーダーなどとも直接接続できます。

IoTゲートウェイ(SP5000モデル)

Pro-faceのIoTゲートウェイ「SP5000モデル」はシリアル×2、Ethernet×2 最大4種類の異なった機器と同時接続可能な最上位モデルです。リアルタイムOS搭載モデルだけではなく、WindowsOSモデルもラインアップしています。本体にストレージを搭載しているため、データの二重化も可能です。

PLCデータの収集を容易にし、異なるメーカーのPLCデータをプログラムの変更なしで収集できます。ネットワーク経由で機器データを自動収集し、Excelなどの多彩な形式でデータを取得可能です、

オフラインでのデータ収集もサポートしています。さまざまな機器データに対応し、内蔵I/Oと装置の状況の監視が可能で、タブレットを使用してモニタリングできます。さらに、リモートモニタリングも可能で、アンドンシステムの構築もサポートします。

IoTゲートウェイの活用例

IoTゲートウェイの活用例
ここではIoTゲートウェイを導入し、業務の改善に至った事例を2つ紹介します。

成功事例1.製造ラインのデータベース構築で生産品質の「見える化」に成功

コニカミノルタ株式会社では、液晶ディスプレイの主要部材である「TACフィルム」の生産品質および製造効率の向上を目指し、当社のソリューションを一括導入いただきました。この導入により、異なる時系列の製造ラインから得られる計測データを一元的に管理し、データベース化を可能とする環境が整備されました。

具体的には各製造拠点に、センサーデータを取得するPLC Modicon M221シリーズ、製造ラインごとに収集されたデータを連携するIoTゲートウェイ STM6000シリーズ、データを集約管理する産業用PC PS6000シリーズ、そして収集されたデータの分析と活用を行うためのソフトウェアであるAVEVA Historianが導入されました。

これにより、コニカミノルタ社は生産現場におけるデータ活用を強化し、品質および製造効率のさらなる向上を実現しています。

成功事例2. IoT化した機器とMESを連携したい

お客様の課題IoT化した機器とMESを連携したい
ご提案IoTゲートウェイ STM6000シリーズを導入

MESとは製造実行システム(Manufacturing Execution System)のことを意味します。こちらの企業は、クライアントから「MESとIoT機器を連携したい」といった相談を受けているそうです。ただ、自社で通信ドライバーを開発しているため、開発や見積もりに時間がかかっていました。

IoTゲートウェイ STM6000シリーズは240種類以上のプロトコルを搭載しており、MESとの通信も可能です。自社装置の付加価値を提案することで、他社との差別化を実現できるでしょう。

成功事例3.生産数の属人性を低減したい

お客様の課題生産数の属人性を低減したい
ご提案AVEVA System Platform AVEVA Historian + マルチ・データボックスを導入

作業時間の把握を、手書き日報で管理している工場は少なくありません。ただ、手書きの場合、正確な作業時間が把握できず、作業スピードや質が作業員の質によって異なってしまいます。

IoTゲートウェイ STM6000シリーズなら、日報を書いてもらわなくても正確なデータを収集できます。属人性を低減することができ、誰が行ってもスピーディーかつ高品質な生産を目指せるでしょう。

さいごに

IoTの実現において、IoTゲートウェイは重要
IoTの実現において、IoTゲートウェイは重要です。IoTゲートウェイを導入することでデータの収集が容易になり、生産性の工場や予知保全に繋がるでしょう。

「どのようなIoTゲートウェイ機器を選べばよいかわからない」
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参照文献