ITにおけるエッジ(ネットワークエッジ)とは?関連キーワードとともにご紹介します。

edge画像1
エッジはIoT化が進み、データ量が膨大になる昨今において、非常に重要なテクノロジーです。本記事ではIoTの分野におけるエッジ(ネットワークエッジ)とは何かを解説します。

 

エッジとは

edge画像2
エッジ(edge)とは、「ふち」や「端」、また刃物などの刃の研ぎ澄まされた面とのことindeを指す言葉ですが、IT業界ではモノや人がネットワーク化されたデジタル世界とつながる物理的な場所(データが収集され、またその収集したデータを送り出す場所)のことで、これにはその近い場所にあるハードウェアとソフトウェアも含まれます。

エッジに関連するワード

エッジにはさまざまな関連ワードがあります。ここでは4つをご紹介します。
 
  • エッジコンピューティング
  • エッジAI
  • エッジデバイス
  • エッジセキュリティ

エッジコンピューティング

エッジコンピューティングとは、デバイスやサーバーの近くでデータ処理・分析を行う分散コンピューティングの概念です。データをクラウドやデータセンターに送信して処理・分析を行うのではなく、リアルタイム分析、機器データの分析などをエッジで行い、そのコンピューティング作業結果のみをデータセンターに送信する方法です。

全てのデータをクラウドに送信する必要がなくなるため、ネットワークの負担軽減やクラウドストレージの削減に繋がるほか、分析結果のみを送信することでプライバシーの強化にも繋がります。

なお、IT業界においては「エッジ」と聞くとエッジコンピューティングのことを指す場合が多いでしょう。
 

エッジAI

エッジAIとは、AIの機能や処理をエッジデバイスで実行する技術・手法を指します。

従来のAIはクラウドAIが主流でしたが、クラウド上のサーバーとデータをやりとりする際に膨大なデータが必要になり、タイムラグが生じることもありました。一方、エッジAIはデータをエッジデバイス内で処理するため、高速な処理と高いセキュリティー性が実現できます。

エッジAIは、バックエンドでAIモデルを実行するのではなく、ネットワークエッジで動作するデバイス内のプロセッサに構成されるため、エッジデバイス内に機械学習モデルを統合されます。そのため、エッジコンピューティングのメリット同様、多くのデータをクラウドに送信するのではなく、ローカルで処理・分析を行うため、帯域幅の削減を期待できます。

現在は自動運転やドローン、監視カメラなどさまざまな分野でエッジAIの活用が期待されており、例えば医療業界においては、手術のリアルタイムでの洞察を可能にするため、手術ビデオのストリーミングを使用する機器がAI対応になりつつあります(1)

エッジデバイス

エッジデバイスとは、一般的には2つのネットワーク境界でデータの流れを制御するハードウェアで、エッジルーターやファイアウォールなどが含まれます。

IoTにおいては、IoTの”thing”(モノ)の部分にあたり、スマートフォンやセンサー、IoTゲートウェイ、産業システムなどがありとあらゆるものが含まれ、データの収集や処理、制御を行います。

またエッジデバイスによっては、ローカルデバイスが使用するBluetoothやWi-fi、NFCなどのプロトコルをクラウドが使用するAMQP、HTTP、MWTTなどのプロトコルに変換するものもあり、エッジコンピューティングにおいてデータを収集、分析、処理するために必須のデバイスです。

エッジセキュリティ

エッジセキュリティは、エッジデバイスやエッジネットワークにおけるセキュリティー対策のことです。エッジ環境でのデータ保護やデバイスの防御、ネットワークセキュリティーを確保するための対策を含みます。

エッジアーキテクチャがスケールするにつれ、攻撃対象も拡大するため、エッジセキュリティは極めて重要です。Red Hat社によると、エッジコンピューティングでセキュリティを確保する方法の中核はゼロトラストのセキュリティアプローチです(2)

また同社によると、様々なソフトウェアやハードウェアがエッジコンピューティングに用いられることが多く、最新のセキュリティプロセスの確保が難しくなっています。そのため、エッジデバイスの追跡やセキュリティリスクの予測など、エッジ環境の継続的な監視が必要となります。

エッジコンピューティングの活用事例

当社のエッジコンピューティングを導入したお客様導入事例を2つ紹介します。
 

製造ラインのデータベース構築で生産品質の「見える化」に成功

コニカミノルタ株式会社では、液晶ディスプレイの主要部材である「TACフィルム」の生産品質および製造効率の向上を目指し、当社のソリューションを一括導入いただきました。この導入により、異なる時系列の製造ラインから得られる計測データを一元的に管理し、データベース化を可能とする環境が整備されました。

具体的には各製造拠点に、センサーデータを取得するPLC Modicon M221シリーズ、製造ラインごとに収集されたデータを連携するIoTゲートウェイ STM6000シリーズ、データを集約管理する産業用PC PS6000シリーズ、そして収集されたデータの分析と活用を行うためのソフトウェアであるAVEVA Historianが導入されました。

これにより、コニカミノルタ社は生産現場におけるデータ活用を強化し、品質および製造効率のさらなる向上を実現しています。

エッジで必要なデータだけを集約できるような環境の構築

お客様の課題
取得データ量の増加に伴うデータを格納するコスト、レイテンシー問題を気にすることなく工場全体の稼働データ、品質データ、保全データを取得したい。
 
工場のICT化を始めたものの、現場の要望を受けるにつれて、だんだんと取得するデータ量が膨大になってしまう課題がありました。

そこで、まず階層機能によるエッジコンピューティング対応でデータ収集方法を見直しました。次に第一階層のエッジデバイスにPS6000+BLUE Open Studioを追加することで、第二階層(サーバー)の負荷を軽減しつつ、必要なデータだけを集約できるような環境の構築に成功しています。

製造業DXをエッジで加速させる

edge画像2
今後、IoT化が進むことによってデータ量はより増加します。従来の環境や機器ではデータを処理しきれず、遅延や停止につながる恐れもあるでしょう。

このような課題を解決できる可能性があるのがエッジの技術です。従来の環境にエッジコンピューターを導入することで、データの取得だけでなく「データの可視化」「リモート監視」「リモートメンテナンス」「分析」などデータの活用も期待できます。

製造現場のDXを加速させる産業用コンピューター「PS6000シリーズ」は、業界最高レベルのスペックを備え、HMIからエッジまで幅広く活用できる産業用コンピューターです。
またお持ちのデバイスをすばやくインテリジェント化できる、エッジデバイスに最適なSCADA/HMI「AVEVA Edge」もございます。クラウドにつなげば、SCADAでエッジコンピューティングを実現可能です。
製造業のDXに関して不安やお困りごとがある場合は、一度お問い合わせください。まずは専任のスタッフがお悩みをお伺いし、解決に向けてサポートいたします。
出典