[ホワイトペーパー] 産業用ネットワークにマネージドスイッチが必要な理由とは?

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概要

IoTやオートメーション、自動化など産業現場におけるデジタルトランスフォーメーション(DX)を実現するには、安心と安全を担保した、信頼性の高い通信ネットワークのインフラが絶対不可欠。
かつての主役は専用線であるフィールドバスでしたが、いまでは産業用イーサネットが主流になるなど、産業ネットワークのあり方も変化してきています。
そこで今回は、産業ネットワークを取り巻く環境の変化と、それに対応するために必要なこと、そして産業用イーサネットスイッチ「Modiconスイッチ」を使ったシュナイダーエレクトリックのご提案について紹介します。

実は産業ネットワーク構築に強いシュナイダーエレクトリック

シュナイダーエレクトリックといえば、日本の製造業や産業分野では「Pro-face」ブランドでプログラマブル表示器やIoTゲートウェイ等を展開している産業機器の会社というイメージを持たれている方が多いと思います。
しかし、そんなシュナイダーエレクトリックがなぜ産業ネットワーク構築を語るのかというと、実はPro-faceはあくまでシュナイダーエレクトリックの一側面でしかなく、グローバルでは「Modicon」や「Telemecanique」、「AVEVA」といった主要ブランドで産業に関わるあらゆるハードウェア・ソフトウェアを取り扱い、産業プラットフォームとしても「EcoStruxure」を展開し、トータルで製造業・産業分野のDXやデジタル化、IoTを支援しているという特長があるからです。なかでもネットワーク・通信分野では、ハードウェアとしてネットワーク機器の販売に加え、産業用に特化した通信サービス「Air Connect」によって通信キャリアとしてサービスを提供するなど、とてもユニークです。
Pro-faceと合わせ、プロトコル、セキュリティー、産業ネットワークのすべての技術と製品・サービスを持ち、ワンストップで提案できるのは、国内・世界を見渡してもシュナイダーエレクトリックだけ。日本国内でもその強みを活かし、システムインテグレータやネットワークインテグレータとともに高品質で高信頼性の産業ネットワーク構築からDX実現へのサポートを行っています。
 

産業用ネットワークの主役はフィールドバスから産業用イーサネットへ

もともと産業現場で使われる機器は「フィールドバス」と呼ばれる専用の通信線で接続されていました。具体的には、ProfibusやModbus RTU、DeviceNet、CC Linkなどがそれに当たります。それに対し、ここ20年ほどで、国際標準規格のEthernetをベースに、堅牢性や低遅延など産業用に通信の信頼性を高めた産業用イーサネット、例えばProfinetやEthernet/IP、EtherCAT、Modbus/TCP、CC Link IEなどが急速に普及し、今では主流となっています。実際にHMSインダストリアルネットワークによる「産業用ネットワーク市場シェア動向」によると、2020年に新規設置されたノードでは、産業用イーサネットが65%、フィールドバスが28%とされています。 産業用イーサネットは国際標準のEthernetがベースなので、製品設計や部品の調達などで融通が効き、メーカーとして製品開発がしやすく流通させやすかったことや、年々技術が進化して速度や信頼性が高まり、Ethernetのアプリケーション領域が広がっていたことなどが普及の背景にあります。
 

OTとITの融合も産業用イーサネットの普及を後押し

近年は、デジタル化やDX、データ利活用を理由に、製造現場(OT)とオフィス(IT)を同じEthernetで集約・連携させていこうという動きが進んでいます。OTとITを集約させることは、工場における生産の状況をリアルタイムに可視化して柔軟に対応することによる総所有コスト(TCO)の低下と投資収益率(ROI)の向上、ネットワークの保守と管理が一元化できることによるコストと労力の削減、また物理ネットワークと仮想ネットワークのセキュリティーを向上につなげるなど、いくつものメリットを生み出します。

例えば、最近はOTとITはお互いに現場で使われる機器が増え、扱うデータも大きくなり、管理と保守にかかるコストが増大していますが、OTとITを統合してエンドツーエンドのEthernet環境を構築することで、製造現場とオフィス間を安全でシームレスにつなぎ、ネットワークや機器の管理などの運用を効率化することができます。

また、営業や受注データと工場の稼働状況を掛け合わせて分析することで生産のためのリソースを最適化でき、空いたリソースを他の製品の生産に回して稼働率を向上させることも可能となります。
こうした動きも産業用イーサネットの普及を後押ししています。

例:OTとITを融合させることによる運用上のメリット
  • より迅速で低コストでの製造現場のアップグレード、拡張、および交換
  • 製造現場全体の運用を改善するためのリアルタイムデータへのアクセス
  • より迅速なインストール、リモートトラブルシューティング、および修正措置機能
  • リアルタイムの在庫の可視性
  • デジタルツインによる本番データと仮想サポートグループの共同レビュー
  • 生産能力の向上
  • スケジューリング、計画、品質のトラッキング、および配送情報のためのERPとの製造現場システムの統合
 

求められる高品質・高信頼性のネットワーク

近年、産業のデジタル化やDXが進むにともない、取り扱うデータ量が増大し、外部からのサイバー攻撃なども受けやすくなっています。そのため通信・ネットワーク環境に対してよりシビアで高度な安定性や信頼性が求められるようになり、その流れは年々強まっています。具体的には、低遅延やゼロ遅延、セキュリティー、トラブル時の早期復旧と原因究明などに対する要求です。
いま稼働している既存システム、いわゆる「レガシーシステム」と言われるもののネットワークは、構築当時の状況に合わせているので、大半は脆弱なものとなっています。それを今の企業を取り巻く環境と今後の未来予測に合わせたものに変えていくことが重要です。
 

強固なネットワーク環境はマネージドスイッチの活用から

では、いまと未来に合わせたシステム構築をするには何を行えばいいのでしょうか?その答えのひとつが「マネージドスイッチ」の採用です。
レガシーシステムの多くは、ネットワークのハブや切換器(スイッチ)に「アンマネージドスイッチ」が使われています。アンマネージドスイッチは、機器自体が安価で、ケーブルを接続してプラグアンドプレイですぐ動作し、接続された機器のMACアドレスを自動的に管理して、パケットを伝送先の機器へ届けることができるという手軽さがあります。そのため、「機器同士を接続できれば良い」、「高度な管理は必要ない」、「安価に済ませたい」というニーズに合っており、いまも広く使われています。

しかしながら、「トラフィックが増大した時、ネットワークの負荷を分散して遅延を抑えたい」、「ネットワークを冗長化してシステムダウンを防ぎたい」、「不正な操作やアクセスを監視・検知してセキュリティーを高めたい」、「トラブル時のネットワークの状態を見て分析したい」といった場合でも、アンマネージドスイッチにはそれらの機能は備えていません。産業イーサネットに高品質で、高信頼性と安定性が求められるなかでは、アンマネージドスイッチだけでは十分な備えが難しいというのが実態です。

それに対し、マネージドスイッチは、その名の通り「ネットワークを管理できるスイッチ」であり、リスクに対応した機能を備えており、高品質で高信頼性のネットワーク構築には不可欠なものとなっています。
 
  • トラフィックフィルタリング機能
    様々なトラフィックフィルタリング機能により、データ・帯域幅・トラフィックを制御し、効率の良いネットワーキングを実現します。
  • 冗長化
    高度な冗長化性能によって、ダウンタイムを大幅に削減可能です。
  • セキュリティー
    マネージドスイッチでは、4つの脅威に対して、有効な対策を立てることが可能です。
  • トラブルシューティング
* 各機能の詳細は、ホワイトペーパー(PDF)をダウンロードのうえご確認ください。
 

アンマネージドスイッチとマネージドスイッチの違い

アンマネージドスイッチとマネージドスイッチの違いは以下のようにまとめることができます。マネージドスイッチもアンマネージドスイッチもそれぞれに一長一短があり、使い分けることが重要です。高品質で高度な制御が必要な領域はマネージドスイッチを使い、単に機器同士がつながっているだけで良い、外部ネットワークとつながらない領域などでは安価で手軽に使えるアンマネージドスイッチで構成するといった使い方がおすすめです。
 
 アンマネージドスイッチマネージドスイッチ
ネットワークの集約ネットワークセグメントごとに設置必要集約可能
設定不要(プラグアンドプレイ)必要(Web UI)
冗長化不可能
障害復旧に時間がかかる、ループする
ダウンタイムを大幅に削減可能
ループ阻止、冗長化プロトコルにて自動復旧可能
トラフィック
フィルタリング
不可能
ループが発生すると帯域を使い果たして、システムダウ
ンを引き起こす。
一部の機種にてQoSに対応したモデルあり
マルチキャストフィルタリング(IGMP)
パケットの優先度の設定 QoS
VLAN による仮想ネットワークセグメントの設定
リンクアグリゲーションなどでデータ、帯域幅 、 トラフィックを制御
エラー出力LEDのみ
一部の機能でアラームリレーあり
アラームリレー出力
DIN→SNMPトラップ出力
セキュリティー特になしアクセスコントロール
DoS防御
多様なフィルタリング機能
ネットワーク診断機能特になしSNMP、SYSLOG、ポートミラーリング等
外部メモリー無しUSBメモリーによるバックアップ&レストア
二重化電源一部の機種で対応完全対応
 

世界で採用されている「Modiconスイッチ」

Modiconは、もともと米国の大手制御機器メーカーで、1968年に世界で初めてPLCを開発したメーカーとして世界で知られています。1997年にシュナイダーエレクトリックのグループに入り、以来25年あまりにわたってシュナイダーエレクトリックの制御機器の主要ブランドとして、そのPLCや産業ネットワーク機器は世界中で採用されています。これからご紹介するModiconの産業用イーサネットスイッチは、すでに産業オートメーションの分野で長い歴史があり、世界中で使われている実績のあるもので、このほど日本で発売を開始しました。(以前はConneXiumというブランドで展開)

「Modiconスイッチ」は、マネージドスイッチとアンマネージドスイッチ、ファイアウォール、ポート数も2~24を超えるものまで幅広く取り揃え、お手頃価格で導入しやすい「ライト」から、高機能・高信頼性のハイエンドな「エクステンデット」まで、豊富なポートフォリオを取り揃え、用途に応じて最適なものを選ぶことが可能です。いわゆる汎用的な商用グレードのイーサネットスイッチと異なり、すべての機種で安全規格のUL61010またはUL508に適合し、使用周囲温度0℃から+60℃で動作することができます。一部機種では、絶縁保護コーティングを施し、40℃から+75℃までの環境でも動作できるものもあり、より高湿度の環境にも対応が可能です。
すべての機種は、コンパクトで堅牢な設計で、DINレールに対応し、制御盤やボックスに省スペースでの取り付けが可能。24VDCの電源入力で、直流スイッチング電源から安定した電源供給を受けることができます。ほとんどの機種で入力電源を二重化でき、安定稼働を可能としています。
 

Modiconスイッチのポートフォリオ一覧

マネージドスイッチの最上位機種である「エクステンデットマネージドスイッチ」は、デュアルリングスイッチとして非常に高い信頼性を持ち、インフラ設備などに最適です。「スタンダードマネージドスイッチ」は、高機能なマネージドスイッチの中でも最もよく使われるタイプで、20機種のバリエーションを持ち、サイバーセキュリティーを高度に進化させたファームウェアを全てのモデルに実装しています。「ベーシックマネージドスイッチ」は、基本的な冗長化プロトコルであるRSTPをサポートするファームウェアを実装し、「ライトマネージドスイッチ」は、エントリーレベルで最も導入しやすいタイプとなっています。

アンマネージドスイッチでは最上位機種の「プレミアムアンマネージドスイッチ」は、アラームリレー、QoS、電源の冗長化などの高度な機能を持ちます。「スタンダードアンマネージドスイッチ」は、プラグ&プレイが可能な最もシンプルで使いやすいタイプとなります。また「ファイアーウォール」もあり、制御システムを含むさまざまなレベルのネットワークを有効なセキュリティーゾーンに変えることができます。トランスペアレントブリッジモードとルーターモードの両方で動作します。

産業イーサネットにはそれ専用の機器を





 
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著者:
シュナイダーエレクトリックホールディングス株式会社
商品企画部
田中 秀樹


 

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