IoT(Internet of things)とは?意味や仕組み、IoT機器活用事例を紹介

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IoT(Internet of things)は、さまざまな業界や場面で重要視されています。ただ、「具体的にどのようなものなのかわからない」という方も少なくないでしょう。

本記事ではIoTとは何かを解説し、意味や仕組み、IoT機器活用事例を紹介します。

 

IoT(Internet of Things)とは?簡単に説明

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IoT(Internet of Things)とはなんなのか、まずは基本的な読み方と意味や定義について説明します。

IoTの読み方

IoT(アイオーティー)は「Internet of Things:インターネット・オブ・シングス」の略称で、日本語では「モノのインターネット」と訳されることが多いです。

IoTの意味や定義

IoTとは、物理的なオブジェクトやデバイスがインターネットに接続され、相互に情報をやり取りする技術や概念を指します。

特定通信・放送開発事業実施円滑化法(平成二年法律第三十五号)では、「IoT(Internet of Things)の実現」として次のように定義されています。
 
インターネットに多様かつ多数の物が接続され、及びそれらの物から送信され、又はそれらの物に送信される大量の情報の円滑な流通が国民生活及び経済活動の基盤となる社会の実現をいう。
出典:e-GOV|特定通信・放送開発事業実施円滑化法(平成二年法律第三十五号)
 
IoTで実現できることは、デバイスのモニタリングや制御、効率化、自動化など様々あります。例えば、スマートホームでは照明やエアコンをスマートフォンから操作したり、工場ではセンサーデータを活用して生産ラインを最適化したりすることができます。

IoTの仕組み

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IoTの仕組みを理解することは、ビジネスだけでなく実生活においても大切です。ここではIoTの基本となる部分と構成する3つの要素を説明します。

IoTの基本はデータ収集

IoTの基本はデータ収集です。IoTでは、さまざまなセンサーを通じて温度、湿度、位置、動作などのデータを収集し、それをクラウド上のデータベースやサーバーに送信することが可能です。収集されたデータは分析され、ビジネス上の意思決定や効率改善、サービスの向上などに活用されます。

IoTを構成する3つの要素

IoTは主に3つの要素で構成されています。
 
  • デバイス
  • クラウド
  • アプリケーション

デバイス

デバイスとは、センサーやアクチュエーターなどが組み込まれた機器です。主にデータを収集したり、外部の指示に基づいてアクションを実行したりします。センサーがさまざまなデータを収集し、アクチュエーターが制御信号を送って、物理的な変化を起こすことが一般的です。

クラウド

クラウドは、インターネットを介してアクセス可能なデータストレージや処理環境を指します。デバイスから収集されたデータは、クラウド上のデータベースに蓄積されます。

アプリケーション

アプリケーションとは、データを制御・監視したり、処理・分析したりするためのソフトウェアです。各業界の分野に特化したアプリケーションを使うのが一般的です。
 
近年では、「IoTプラットフォーム」と呼ばれるネットワークやクラウド、アプリケーションがセットになったものもあります。
 

IoTで実現できること

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IoTでは、次のようなことを実現できるとされています。
 
  • モノの操作:IoTを活用してデバイスや機器を遠隔から操作する
  • モノの状態確認:IoTを通じて物理的なモノの状態や情報をリアルタイムに監視・確認する
  • モノ同士によるデータの送受信:異なる物理的なモノ(デバイスやセンサーなど)同士が相互にデータを送受信する
  • モノの動きの把握:物体の移動や動作を追跡・監視する
 
また、今後IoTがより普及すれば、生産ラインや作業工程が可視化され、あらゆるデータの収集・分析が可能になり、生産上の無駄を最小限に抑えられる「スマート・ファクトリー」が実現できるでしょう。
 
さらに、IoTデバイスを活用したデータ収集や分析、遠隔監視、予知保全サービスといった新たなビジネス展開にもつながります。例えば、機器や設備の稼働状況や故障予測などのデータを収集し、それに基づいた予測保守・メンテナンスサービスなどを提供できる可能性があるでしょう。

モノの操作

IoTにより、ユーザーはその場にいなくてもモノを操作することができます。例えば、外出先でもスマートフォンを使って家の照明やエアコン、ドアロックなどの家電製品を動かすことができます。家に帰る前にエアコンをONにしたり、風呂のお湯はりを開始したりすることが可能です。

また、産業現場では、センサー付きの機器やロボットを使用して、生産ラインや倉庫の自動化(ファクトリー・オートメーション)を実現しています。遠隔操作することで、機器の起動や停止、動作パラメーターの変更、異常状態の監視などを現場に身を置かずに実行できます。

モノの状態確認

IoTではセンサーやデバイスを活用して、モノの動作状態や温度、湿度など、さまざまなパラメーターを計測しデータとして収集・送信できます。例えば、ドアや窓のロックを確認したり人の存在を検知したりすることで、家のセキュリティー強化に役立ったり、電気・ガス・水道などの利用量などをリアルタイムに把握することで省エネにつながるでしょう。

製造業においても、機械や設備の稼働状態や異常検知、製品の品質管理などモノの状態確認を遠隔地から確認できます。センサーデータを収集し、リアルタイムで監視・分析することで、生産ラインの予知保全が可能となり、生産効率の向上に貢献します。
 

モノ同士によるデータの送受信

IoTによってモノ同士がデータの送受信を行い、情報を共有することができます。その代表的な例が車の自動運転です。自動車が道の状況や混雑具合などのデータをリアルタイムに受信し、自動的に速度を落としてくれたり最適なルートを選んでくれたりするような取り組みが始まっており、一部はすでに実現され製品化されています。

工場においても、機械やセンサーがリアルタイムでデータを収集し、そのデータを他のモノ(例:生産ライン上の別の機器)に送信するという使い方ができます。受信したデータを解析することで、機器の状態や稼働状況を監視し、必要に応じて制御することが可能です。

モノの動きの把握

IoTでは、リアルタイムでモノの動きや状況を把握することもできます。例えば、物流業界では、パッケージや商品にセンサーを組み込んで位置情報を取得し、モノの移動経路や配送状況をリアルタイムで追跡することが可能です。

ヒトの動きを管理する場合においても、例えばピッキング作業で動きに無駄がないかなどを分析し、必要があれば棚のレイアウトを変更する、といった改善が見込めるようになるでしょう。

IoTの国内事情

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IoTの普及は急速に進んでいます。総務省のデータによると、「IoTデバイスの数」は今後も増加していくことが予想されています。

IoTの普及率

IoTの普及は急速に進んでいます。総務省のデータによると、「IoTデバイスの数」は今後も増加していくことが予想されています。
   
また、以下の図が示すように幅広い分野で普及しています。中でも、高成長率を期待されているのが医療や産業用途です。
   
2020年3月から第5世代移動通信システム(5G)の商用サービスが開始され、通信速度がさらに早くなりました。それに伴って、スマート工場やスマートシティーの実現化が期待されています。

海外との違い

日本のIoT導入やIoTに関する技術は、一部の国と比較すれば遅れているといえるでしょう。平成28年のデータではありますが、アメリカやドイツ、中国に比べると、IoTに対する積極性の低さがわかります。
   
また、国際経営開発研究所が公表するデジタル競争力ランキングによると、日本は「技術」「将来への備え」という面でほぼ毎年順位を落としています。
   
ただ、国内ではIoTの推進を強く押し出しているのも事実です。IoTの導入は、これからの製造業において重要な課題の一つといえるでしょう。

IoTの課題

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IoTの導入自体にも、さまざまな課題があります。特に注意すべきなのが以下の点です。
 
  • IT人材の不足
  • セキュリティーリスクの増加
  • 増大するネットワークの負荷

IT人材の不足

IoTは複雑な技術や知識を要求するため、適切な人材が必要とされます。しかし、IoTを取り扱うことのできるIT人材は、さまざまな分野で不足しているのが現状です。

経済産業省は「将来的に40~80万人の規模で不足が生じる」と試算しています。
 
IT需要予測から推計されるIT人材需要との需給ギャップから2030年までのIT人材の不足数を推計すると、労働集約業態となっている日本のIT人材の低生産性を前提とすれば、将来的に40~80万人の規模で不足が生じる懸念があることも試算された。
出典:経済産業省|参考資料(IT人材育成の状況等について)
 
このように、IT人材の確保は容易ではありません。人事戦略や採用活動に力を入れるとともに、IoTに関するスキルや知識を持った人材の育成も重要です。

セキュリティーリスクの増加

IoTデバイスやネットワークが増加するにつれ、セキュリティーへの脅威や攻撃のリスクも増加しています。

総務省においても、「サイバー攻撃はIoT機器を狙ったものが最も多い」と警鐘を鳴らしています。
 
実際にIoT機器を悪用したサイバー攻撃が発生しているほか、NICTが運用するサイバー攻撃観測網(NICTER)が2021年(令和3年)に観測したサイバー攻撃関連通信についても、依然としてIoT機器を狙ったものが最も多いという結果が示されている。
出典:総務省|IoTに関する取組
 
セキュリティーリスクの増加に対処するためには、対策の強化が必要です。ただ、どれだけ対策を強化しても完全に防げるわけではありません。対策を強化するとともに、業界全体におけるセキュリティー基準の策定や情報共有、労働者の意識向上などにも取り組みましょう。

増大するネットワークの負荷

IIoTデバイスの急速な増加により、ネットワークへの負荷が増大しています。総務省によると、データ通信量は2019年11月から2021年11月までの2年で約2倍に増加しました。
   
今後もデータ通信量は増加し続け、2030年には30倍以上、2050年には4,000倍に達するという予測もあります。ネットワークの負荷が増大すると、遅延やパケットロス、通信の安定性の低下などの問題が発生する可能性があるでしょう。

負荷を軽減する方法として、エッジコンピューティングやフェデレーションなどデータ処理を分散させる手法に注目が集まっています。
 

IIoTとは

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IIoT(アイアイオーティー、Industrial Internet of Things)は、Industrial(産業用)とIoT(モノのインターネット)を組み合わせた用語です。

IIoTはインターネットだけではなく様々なモノや機器をネットワークに繋げることで、見える化、品質管理、セキュリティー向上などの業務の効率化を図れます。

IIoTで実現できること

製造業では、生産性の向上、品質の向上、エネルギーの効率化などの課題に直面しています。IIoTは、これらの課題に対する効果的な解決策を提供します。具体的には、リアルタイムのデータ収集により、生産プロセスや機器の状態を把握し、予知保全やトラブルの早期発見・修正が可能になります。また、データ分析により生産効率を最適化し、生産ラインの停止時間を減らすことができます。

実際に当社製品を導入してIIoTを実現した2つの事例を紹介します。

工作機械と周辺設備のIIoTを実現したソリューション事例

サイレックス・テクノロジー株式会社は、工作機械と周辺設備の稼働データ収集において、DPRNTを利用することの難しさから、より簡便なデータ収集方法を求めていました。
また、周辺設備のデータをも収集し、稼働率向上や動作の安定化を目指していました。このような課題に対して、当社とのコラボレーションにより、IoTソリューションを導入いただきました。
IoTやDXの導入において最も大きな悩みは、現場の多様な機器をどのように接続するかという点です。今回のソリューションでは、CNC領域および周辺機器のデータ収集を重視し、ワイヤレス技術を活用したハードウェア・ソフトウェアを提供することで、機器をネットワークに接続し、データを自動収集・解析して必要な情報を分析する環境を整備しました。
これにより、装置メーカーを超えての利用が可能となり、IoTおよびDXの導入成功に寄与しています。

製造ラインのデータベース構築で生産品質の「見える化」に成功

コニカミノルタ株式会社では、液晶ディスプレイの主要部材である「TACフィルム」の生産品質および製造効率の向上を目指し、当社のソリューションを一括導入いただきました。この導入により、異なる時系列の製造ラインから得られる計測データを一元的に管理し、データベース化を可能とする環境が整備されました。

具体的には各製造拠点に、センサーデータを取得するPLC Modicon M221シリーズ、製造ラインごとに収集されたデータを連携するIoTゲートウェイ STM6000シリーズ、データを集約管理する産業用PC PS6000シリーズ、そして収集されたデータの分析と活用を行うためのソフトウェアであるAVEVA Historianが導入されました。

これにより、コニカミノルタ社は生産現場におけるデータ活用を強化し、品質および製造効率のさらなる向上を実現しています。

IoTプラットフォームとIoT製品をオールインワンでご提案

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製造業におけるDXは、今後のビジネス発展において非常に大きな課題です。

しかし、DXの実現には製造現場の状況や課題感に合ったIoT機器、ソフトウェアの導入が必要です。また幅広い知識が必要となるため、これらの課題を自社内で解決することは、容易ではありません。

当社では、製造業のDXを支援するために、IoTプラットフォームとIoT製品をオールインワンで提案しています。製造業のDXに関して不安やお困りごとがある場合は、一度お問い合わせください。まずは専任のスタッフがお悩みをお伺いし、解決に向けてサポートいたします。