ただし、民生用PCに比べると価格が高く、納品まで時間がかかることもあるため慎重に選ばなければなりません。本記事では産業用PCとは何かを説明し、導入のメリット・デメリット、選ぶポイントを紹介します。
産業用PC・コンピューターとは
産業用PCの目的
産業用PCは民生用PCよりも堅牢性や信頼性に優れ、温度や湿度が厳しい環境下でも使用可能です。産業用PCが主に使われる工場は、場所によっては常に振動が発生したり、塵や埃が舞ったりすることも少なくありません。そのような環境でも耐えられるように設計されています。
産業用PCのOS
場合によっては産業用途に特化したOSが用いられることもありますが、メジャーなOSはWindowsやLinuxです。それぞれの特長・メリットは次のとおりです。
主なOS | 特長・メリット |
---|---|
Windows | 汎用性が高く、多くの産業用PCで使われている 10年間サポート(※Windows IoT Enterprise LTSCの場合)などサポート期間が長い |
Linux | オープンソースであるため自由に改変でき、OSライセンス費用がかからない |
産業用途に関するOS特徴について詳しく知りたい方は、製造現場で用いられることの多い「Windows」「Linux」「RTOS」という3つのOSについて詳しく解説した以下をご覧ください。
産業用PCのOSとは?Windows・Linux・RTOSのメリット・デメリット
産業用PCの導入コスト
具体的には高い耐久性を持つ筐体や電源ユニット、メモリーの冗長化など、高品質なハードウェアが必要となります。また、OSやアプリケーションソフトウェアも、使用条件によっては産業用途に特化したものを導入する必要があるでしょう。
一般的に、低価格帯の産業用PCであれば10万円前後から、高性能かつ高信頼性を求めるのであれば数百万円以上となることも珍しくありません。
産業用PCの価格帯によってどのような特長があるかを詳しく知りたい方は、以下をご覧ください。
産業用PCの価格帯とは?導入する5つのメリットや高くなる理由を解説
産業用PCとPLCの主な違い
一方、PLCは機械の制御や自動化プロセスに特化し、リアルタイム処理に優れ、耐障害性が高いです。PLCは専用のプログラミング言語を使用して容易にプログラムでき、厳しい製造現場の環境にも耐えられるよう設計されています。用途に応じて、これらのデバイスを使い分けることが重要です。
2つの機器には明確な違いがあり、それぞれ得意とする分野や用途が異なります。 以下に主な違いをまとめましたのでご参考ください。
項目 | 産業用PC | PLC |
---|---|---|
主な目的 | データ処理・監視・分析 | 機械・プロセス制御 |
柔軟性 | 汎用的で幅広い用途に対応 | 専用性が高く、制御に特化 |
OSの使用 | 一般的なOS(Windows, Linuxなど) | 専用OSまたはリアルタイムOS |
耐環境性 | IPCによるが、PLCほど高くない | 高い耐環境性 |
プログラミング | 一般的なプログラミング言語を使用 | 制御専用の言語(ラダー図など) |
コスト | 高価(性能に比例) | 比較的安価(特定用途に特化しているため) |
産業用PC・コンピューターのメリット・デメリット
産業用PCのメリット
- 長期安定供給できる
- 耐用年数が長く長時間にわたって連続運転できる
- 耐環境性が高い
- 現場に則した性能を備えている
- さまざまな要求に対し、カスタマイズ対応が可能
長期安定供給できる
民生用PCは仕様変更や製造中止などが短期間で行われることがあり、1年~2年で同じPCが購入できなくなることも珍しくありません。一方、産業用PCのサイクルは、一般的に5年程度であり、稀に10年以上のものもあります。
さらに、産業用PCはメーカーが製品の仕様変更や廃止などを事前に通知し、必要な部品や代替品の情報を提供してくれることも多いです。だからこそ、一度導入すると長期的に安定してシステムを維持できます。
耐用年数が長く長時間にわたって連続運転できる
これらの特性により、長期的な稼働が必要な工場や船舶、交通システムなど、厳しい環境下でも問題なく使用できます。
耐環境性が高い
例えば、産業用PCの筐体は薄いプラスチック製ではなく、金属製で重厚感のあるものや防水防塵性能を備えたものが多く採用されています。ファンレス設計や熱対策機能、冗長化機能などが搭載されていることも少なくありません。これらの機能により高負荷の処理にも耐えることができます。
現場に則した性能を備えている
例を挙げると、画像解析や3D CAD設計に必要な高性能グラフィックカードを搭載した産業用PCや省エネルギー設計の産業用PCなど、業務に必要な性能や機能を柔軟に選択できます。そのため、現場のニーズに合わせた最適なPC環境を構築することが可能です。
さまざまな要求に対し、カスタマイズ対応が可能
具体的には、導入する際に産業用PCの予算や用途、スペックなどに関するヒアリングを行います。そのうえで仕様を決め、試作機の作成や動作確認を経てお客様に納品します。このように、現場の環境や業界に合わせてカスタマイズできる点も大きなメリットであるといえるでしょう。
産業用PCのデメリット
- 価格が高い
- 納品まで時間がかかる
価格が高い
さらに、産業用PCは民生用PCと比較すると、生産量が少ないため製造コストの削減が難しいという背景もあります。これらの要因から、民生用PCに比べて価格が高くなります。
納品まで時間がかかる
また、受注生産で作られることが多いため、コロナ禍や世界情勢の悪化等によって部材不足に陥った際に、納品が大きく遅れることもあります。
さらに、産業用PCは品質管理や動作テストが厳格に行われることが多く、それらの工程にも時間がかかります。実際に、納品まで数ヵ月かかることも少なくありません。
産業用PC・コンピューターを選ぶポイント
- 性能
- 品質
- サポート体制
性能
- CPU
- OS
- メモリー容量
- ストレージ容量
- インターフェイスの種類や数
- バス速度
- 消費電力
必要以上の性能を持つPCを選択するとコストがかかりすぎる可能性があるため、使用目的に応じた最適なものを選びましょう。
品質
品質を確保するためには、製品設計・製造プロセスの品質管理が徹底されているメーカーを選ぶことがおすすめです。
サポート体制
サポート体制が整っていれば、トラブルや問題が生じた際に素早く対応してもらえます。長期にわたって安定的な運用を行うためには、OS/BIOSやドライバーのアップデートなどのサポートも必要です。産業用PCを選ぶ際は、そのメーカーが「どのようなサポートを行っているか」に注目してください。
Pro-faceの産業用PC・コンピューターの強み
ここではその強みを3つの点から紹介します。
- 品質の高さ
- 納期の早さ
- サポートの充実さ
品質の高さ
- 安心の国内設計
- 高い品質基準をクリアした耐久性・耐環境性
安心の国内設計
また、長きに渡って産業用PC事業に携わっているのも特長の一つです。1980年代から日本で産業用コンピューター事業を開始し、1991年には世界で初めてパネルコンピューターを発売しました。このように30年以上の実績があるからこそ、高い信頼性や安全性を備えています。
さらに、国内修理拠点を持っているため、顧客のニーズに合わせた製品開発やトラブル発生時の迅速な対応が可能です。
高い品質基準をクリアした耐久性・耐環境性
例えば、PS6000シリーズのファンレスモデルはファンフィルターの定期交換や埃・油などによる故障がなくなり、メンテナンス管理工数やコストの削減につながります。さらに、IP66F/67F対応で高圧噴流水によるフロント部の洗浄も可能です。
納期の早さ
産業用PCの納期は、海外で生産を行っている企業の場合だと数ヵ月かかることも珍しくありません。特に2023年現在は新型コロナウイルスの蔓延や国際情勢の変化により、物流に大きな影響が出ています。国土交通省によれば、日系荷主・物流事業者の9割以上が「国際物流に課題・問題があると感じている」と回答しています。
出典:国土交通省 | 最近の国土交通省の国際物流政策の取組について
サービス&サポートの充実さ
お電話による技術サポートだけでなく、チャットやお問い合わせフォームを利用したオンラインサポートや、充実したFAQなど、カスタマーサポートにより製品に関するお問い合わせや急なトラブルによるダウンタイム削減をお手伝いいたします。
さらに海外拠点による現地での購入やサポートなども可能です。
また、Pro-faceの産業用PC・コンピューターは、高品質な製品とともに充実したアフターサービスを提供しています。具体的には、次のようなサービスがあります。
- 既設機から後継機への交換(リプレイス)
- 既設機の修理
- オーバーホール
- 延長保証(保証期間中の自然故障は何度でも無償で修理可能)
製品保証としては、製品(PS6000シリーズ)購入後、24か月の無償保証期間を設けており、新品交換または無償修理もできます。
さらに、海外安全規格や船舶規格も豊富に取得しているため、海外へ輸出する際にも安心です。
Pro-faceの産業用PC・コンピューターのおすすめ機種は?
PS6000シリーズ
PS6000シリーズには主に3つの特長があります。
- 業界最高レベルのハイスペックを備え、HMIからエッジまで幅広く活用
- ボックスとディスプレイを自由にカスタマイズできる組込み出荷サービス
- 組み立て・検査、修理、サポートなど、国内拠点だからこその安心対応
また、ラインアップが豊富にあるからこそ自由に選択・組み合わせができ、「ボックス単体で使用する」「ディスプレイ付きにする」など幅広い用途で使えるという強みがあります。国内拠点だからこそ、スピーディーなサポートも可能です。
PS6000シリーズのラインアップ
ボックスモジュール
モジュール タイプ | 製品名 | CPU | メモリー | ストレージ | インターフェイス | 内部拡張 | 拡張スロット *1 | OS *2 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
アドバンスト ボックス | PS-6000B | Core i7-8665UE | 8 - 32GB | M.2 SSD x1 2.5" HDD/SSD x2 | RS-232C x1 USB Type A: USB2.0 x2、USB3.0 x2 USB Type C: USB3.0 x1 Ethernet(RJ45) x2 DisplayPort x1 | 2 スロット | PCI x1 + PCIe x1 または PCIe x2 または PCI x 2 | Windows 10 IoT Enterprise 2019 LTSC (64bit) or NEW Windows 10 IoT Enterprise 2021 LTSC (64bit) |
Core i5-8365UE | ||||||||
Celeron4305UE | 4 - 16GB | |||||||
スタンダード ボックス | Core i3-8145UE | 8 - 32GB | M.2 SSD x1 2.5" HDD/SSD x1 | 1 スロット | - | |||
NEW ベーシック ボックス | Atom x6211E | 4GB / 8GB(4GB x2) | M.2 SSD x2 *3 SDカード x1 | RSー232C/422/485 x2 USB Type A: USB3.1 x2 USB Type C: USB3.1 x1 Ethernet(RJ45) x2 DisplayPort x1 | Windows 10 IoT Enterprise 2021 LTSC (64bit) | |||
Atom x6425E | 8GB(4GB x2) |
*1 PCIスロットは、32bitバス、3.3Vdcとなります。その他詳細は、PS6000シリーズ ハードウェアマニュアル をご確認ください。
*2 弊社製品に組み込まれている Windows 10 IoT Enterprise 2019 LTSCの供給期間は、2028年11月30日までとなります。またWindows 10 IoT Enterprise 2021 LTSCは2031年11月30日までとなります。ただし、弊社が製品の供給期間を保証する期限ではありません。
オープンソースソフトウェア Node.js、Node-RED、node-red-dashboard が含まれています。著作権、ライセンスについては以下のURLをご参照ください。
https://github.com/nodejs/node/blob/main/LICENSE
https://github.com/node-red/node-red/blob/master/LICENSE
https://github.com/node-red/node-red-dashboard/blob/master/LICENSE
*3 セカンドのM.2 SSDを使用する場合はWifi/Bluetooth以外の内部拡張インターフェイスの使用はできません。
ディスプレイモジュール
画面サイズ | 解像度 | 製品名 | 表示デバイス | タッチパネル方式 | タッチモード | フロントUSB |
---|---|---|---|---|---|---|
NEW 22型ワイド | Full HD (1,920 x 1,080) | PS-6900W | TFT カラーLCD | 投影型静電容量
| ・標準モード ・手袋モード ・水検出モード | - |
19型ワイド | PS-6800W | |||||
15型ワイド | FWXGA (1,366 x 768) | PS-6700W | ||||
NEW 12型ワイド | WXGA (1,280 x 800) | PS-6600W | ||||
NEW 10型ワイド*1 | PS-6500W | |||||
15型 | XGA (1024 x 768) | PS-6700T | アナログ抵抗膜 (マルチタッチ) | - | USB Type A x1*2 | |
12型 | PS-6600T |
PS6000シリーズの特長
業界最高レベルのスペックを備え、装置組込みからエッジ用途まで幅広く活用
また、Pro-faceやシュナイダーが持つ豊富なソフトウェアによって、より高い表現力を持った HMI構築や製造現場DXの推進を支援します。
自由にカスタマイズできる組込み出荷サービス
7種のディスプレイと5種のボックスから好きな組み合わせを選択。オプションでインターフェイスや拡張スロットを追加してCTO(Configure To Order:組込み出荷サービス)方式でご注文が可能です。
さらにわかりやすくスピーディーに機種選定ができるWeb Configuratorをご用意。注文型式をWeb上で生成するので、購入にかかる時間を短縮できます。
国内設計で最終組み立てや修理、サポートなど、国内拠点だからこその安心対応
また、海外拠点による現地での購入やサポートが可能です。カスタマーサポートにより、急なトラブル対応でのダウンタイム削減をお手伝いいたします。
アフターサポートとしては、製品(PS6000シリーズ)購入後、24か月の無償保証期間を設けており、新品交換または無償修理もできます。
さらに、海外安全規格や船舶規格も豊富に取得しているため、海外へ輸出する際にも安心です。