品質管理の徹底は、製造業における使命の一つといえるでしょう。高い品質の製品をコンスタントに製造できれば、顧客満足度や認知度の向上につながります。
ただ、取り扱う製品や製品の種類、データ等が増えると、品質管理が難しくなるのも事実です。本記事では品質管理とは何かを説明し、基本となる3つの要素や主な手法を紹介します。
ただ、取り扱う製品や製品の種類、データ等が増えると、品質管理が難しくなるのも事実です。本記事では品質管理とは何かを説明し、基本となる3つの要素や主な手法を紹介します。
目次:
品質管理とは
品質管理とはQC(Quality Control)とも呼ばれており、製品の品質を限られたコストと納期で顧客が求めるレベルに保つ取り組みを意味します。
ここでは品質管理とは何かを説明するために、必要性や品質保証との違い、品質管理の規格を説明します。
ここでは品質管理とは何かを説明するために、必要性や品質保証との違い、品質管理の規格を説明します。
品質管理の必要性
低品質の製品やサービスは、顧客の信頼を損ない、競争力の低下や顧客離れの原因になります。顧客満足度を向上させるためには、徹底した品質管理が不可欠です。
特に日本の製品やサービスは「ジャパンクオリティー」という言葉があるように、世界各国から質の高さを求められることが多いです。グローバルな展開を視野に入れる場合、製品の品質管理は非常に重要といえるでしょう。
特に日本の製品やサービスは「ジャパンクオリティー」という言葉があるように、世界各国から質の高さを求められることが多いです。グローバルな展開を視野に入れる場合、製品の品質管理は非常に重要といえるでしょう。
品質保証との違い
品質管理と品質保証の違いは、大まかにいうと次の通りです。
品質管理が売り手目線、品質保証が買い手目線と分けて使われることもあります。
- 品質管理:製品やサービスに不良品がないか、問題点がないかなどを確認する
- 品質保証:製品やサービスが一定の要件を満たしていることを確認する
品質管理が売り手目線、品質保証が買い手目線と分けて使われることもあります。
品質管理の規格
品質管理の規格とは、品質を管理・向上するための基準となる指針や要件を定めたものです。
代表的な規格に「ISO9001」があります。ISO9001は国際的に認められた品質管理システム規格で、業種や業態を問わずさまざまな組織が認証を取得できます。
代表的な規格に「ISO9001」があります。ISO9001は国際的に認められた品質管理システム規格で、業種や業態を問わずさまざまな組織が認証を取得できます。
品質管理の基本
品質管理するうえで基本となるのが次の3つです。
- 工程管理
- 品質検証
- 品質改善
工程管理
工程管理とは、製品の生産や提供における工程そのものを管理することです。例えば、適切な手順や作業フローをマニュアル化することも工程管理の一つといえるでしょう。
生産に関わる人の数が多いと、製品の品質にばらつきが生じることも珍しくありません。このような事態を防ぐために、工程管理は重要です。
また、工程の進捗や品質に関するデータを収集し、モニタリングや評価を行い、必要な場合には改善措置を実施することもあるでしょう。
生産に関わる人の数が多いと、製品の品質にばらつきが生じることも珍しくありません。このような事態を防ぐために、工程管理は重要です。
また、工程の進捗や品質に関するデータを収集し、モニタリングや評価を行い、必要な場合には改善措置を実施することもあるでしょう。
品質検証
品質検証は、製品の品質が仕様や規格に適合しているかどうかを確認するプロセスです。製品が顧客の要求や期待に応えることを確認するために行われるものです。
一般的には、品質目標や仕様に基づいて計画を策定し、テストケースやテストデータを準備します。次に、テストを実施して製品やサービスの機能、性能を評価し、品質基準に合致しているかどうかを検証します。
一般的には、品質目標や仕様に基づいて計画を策定し、テストケースやテストデータを準備します。次に、テストを実施して製品やサービスの機能、性能を評価し、品質基準に合致しているかどうかを検証します。
品質改善
品質改善は製品やサービスの品質を向上させるための取り組みです。品質の問題や欠陥を特定し、それらの原因を分析して、根本的な改善策を導き出します。具体的には、品質データや顧客フィードバックを活用し、問題点を把握して改善の優先順位を決定します。
他にもプロセスの再設計や品質管理手法の見直し、トレーニングや教育の実施などが含まれることもあるでしょう。
他にもプロセスの再設計や品質管理手法の見直し、トレーニングや教育の実施などが含まれることもあるでしょう。
品質管理の主な手法
品質管理には業種や業態などに応じてさまざまな手法が用いられます。ここでは代表的な3つの方法を紹介します。
- PDCAサイクル
- QC7つ道具
- インダストリアルエンジニアリング(IE)
PDCAサイクル
PDCAサイクルは品質管理の主な手法の一つであり、以下4つのフェーズを繰り返す手法です。
まず、計画フェーズで品質目標や手法を設定し、実行フェーズで計画に基づいてプロセスを実施します。
次に、評価フェーズで実行結果や品質データを収集・分析し、目標に対する達成度や問題点を評価しましょう。
最後に、改善フェーズで評価結果をもとに問題点の解決策を策定し、次のサイクルへ向けた改善を実施します。
- Plan(計画)
- Do(実行)
- Check(評価)
- Act(改善)
まず、計画フェーズで品質目標や手法を設定し、実行フェーズで計画に基づいてプロセスを実施します。
次に、評価フェーズで実行結果や品質データを収集・分析し、目標に対する達成度や問題点を評価しましょう。
最後に、改善フェーズで評価結果をもとに問題点の解決策を策定し、次のサイクルへ向けた改善を実施します。
QC7つ道具
QC7つ道具とは、品質改善を支援するためのツールを意味します。7つ道具の詳細は以下の通りです。
- グラフ
- チェックシート
- パレート図
- ヒストグラム
- 特性要因図
- 散布図
- 管理図
グラフ
グラフはデータを視覚化するための道具で、数値の傾向やパターンを理解するのに役立ちます。数値を羅列しただけではわからない、細かな変化や相関関係を視覚的に把握することができます。
折れ線グラフや棒グラフなどさまざまな形式があるため、自社に適したものを使うのがおすすめです。
折れ線グラフや棒グラフなどさまざまな形式があるため、自社に適したものを使うのがおすすめです。
チェックシート
チェックシートは品質データの収集や記録に使用される道具です。
日々の点検だけでなく、調査のためにも活用できるでしょう。項目はそのままにしておくのではなく、常にアップデートを続けることが大切です。
日々の点検だけでなく、調査のためにも活用できるでしょう。項目はそのままにしておくのではなく、常にアップデートを続けることが大切です。
パレート図
パレート図は問題や要因の重要度を示すために使用される道具です。値が降順になった縦棒チャートと、累積表示を表す折れ線チャートで表示します。
主に不良品の把握などで用いられ、原因や要因を分析することができます。
主に不良品の把握などで用いられ、原因や要因を分析することができます。
ヒストグラム
ヒストグラムはデータの分布や集中度を可視化するための道具で、「度数分布図」といわれることもあります。
横軸を階級に分け、縦軸を各階級の出現頻度に設定することで、データの特性を把握できます。主に製造工程や問題点の把握で使用される道具です。
横軸を階級に分け、縦軸を各階級の出現頻度に設定することで、データの特性を把握できます。主に製造工程や問題点の把握で使用される道具です。
特性要因図
特性要因図は問題の原因を特定するために使用される道具で、要因を可視化します。矢印が魚の骨のように集合していることから、「魚の骨図」と呼ばれることもあります。
問題を起こす要因やその関連要素を分析することで、解決策を見いだせるでしょう。
問題を起こす要因やその関連要素を分析することで、解決策を見いだせるでしょう。
散布図
散布図とは2つのデータに相関関係があるかどうかを確認するための道具です。データを座標平面に配置し、関連性や傾向を可視化することで、要因の関係性を理解するのに役立ちます。
例えば、製品の重さと価格の関係性を調べる、などの目的で使用することがあるでしょう。
例えば、製品の重さと価格の関係性を調べる、などの目的で使用することがあるでしょう。
管理図
管理図はプロセスや製品の品質を監視するために使用される道具です。品質データの変動やトレンドを把握し、バラツキや問題点の早期発見に役立ちます。
インダストリアルエンジニアリング(IE)
インダストリアルエンジニアリング(IE)とは、生産性を科学的に向上させるための工程管理技術です。生産工程にある「ムリ・ムダ・ムラ」をなくすことが主な目的です。
方法は次の2つに分けられます。
まず、3種類の「方法研究」によって最適な方法を探します。
次に、2つの「作業測定」で研究した方法を分析します。
時間分析は、ストップウオッチなどを用いてどれくらい時間がかかっているか分析するものです。稼働分析は、人や機械がどのような割合で作業しているかを分析する手法です。
このような分析を用いて、作業の無駄や属人化を排除します。
方法は次の2つに分けられます。
- 方法研究
- 作業測定
まず、3種類の「方法研究」によって最適な方法を探します。
- 工程分析:材料から製品になるまでの工程を分析する
- 動作研究:作業する人の動作を分析する
- 運搬分析:搬送や扱い方を分析する
次に、2つの「作業測定」で研究した方法を分析します。
- 時間分析
- 稼働分析
時間分析は、ストップウオッチなどを用いてどれくらい時間がかかっているか分析するものです。稼働分析は、人や機械がどのような割合で作業しているかを分析する手法です。
このような分析を用いて、作業の無駄や属人化を排除します。
その他の品質管理手法
品質管理には、PDCAサイクルやQC7つ道具以外にもさまざまな手法があります。例えば、次のような手法です。
自社に適した手法を実践することで、最適に品質管理できるでしょう。
- 5W1H分析:誰が、何を、いつ、どこで、なぜ、どのように問題が発生したのかを明確にし、なぜ問題が起きたのかを分析する手法
- ルートコーズ分析:「なぜ?」を繰り返し、問題の連鎖や因果関係を追求することで本質的な原因を特定する手法
- FMEA(Failure Mode and Effects Analysis):製品やプロセスの潜在的な欠陥やリスクを設計段階で想定し、取り除く手法
- シックスシグマ:品質管理ツールなどを活用してプロセスを最適化し、欠陥の発生を減らす手法
自社に適した手法を実践することで、最適に品質管理できるでしょう。
品質管理するうえで大切なポイント
品質管理するうえで大切なポイントが2つあります。
これらを徹底することで、より効率的な品質管理を目指せます。
- 5Sの定着
- 5M・6M分析
これらを徹底することで、より効率的な品質管理を目指せます。
5Sの定着
5Sは品質管理の重要なポイントの一つであり、効率的な作業環境を確保するために大切な手法です。以下の5つから成り立っています。
5Sが定着すると作業の効率が向上し、品質の一貫性や生産性の向上に寄与するでしょう。また、問題の早期発見やリスクの予防にもつながります。
- 整理:不要なものから片付け、必要なもののみを残す
- 整頓:効率的な作業ができるように道具や資料を配置する
- 清掃:作業場や機器の清潔さを維持し、品質の向上と安全性を確保する
- 清潔:作業環境や作業者の衛生面に関する意識を高め、衛生的な状態を保つ
- 躾:習慣化することで持続的な改善を実現する
5Sが定着すると作業の効率が向上し、品質の一貫性や生産性の向上に寄与するでしょう。また、問題の早期発見やリスクの予防にもつながります。
5M・6M分析
5M・6M分析は、問題の原因を特定し解決するために使用されます。
5Mは次の5つの頭文字を取ったものです。
6Mでは「マネジメント(Management)」が加わります。
5M・6M分析では、品質問題や不良発生の要因を上記の要素に分解し、「品質にどのような影響を与えているか」をチェックします。具体的なチェック項目は材料の品質や仕様、製造方法や工程の適正性、機械や設備の性能や保守状態、技術やトレーニング、測定手法や検査の信頼性、環境条件などです。
分析結果に基づいて、問題の原因を特定し改善策を立案します。例えば、材料の不良が問題の原因であれば、供給元の品質管理や仕様の再評価を行います。機械の故障が原因であれば、予防保全活動やメンテナンススケジュールの見直しなどが考えられます。人の技術不足が問題であれば、教育・訓練プログラムの充実や適切な人員配置などを検討します。
このように、5M・6M分析は品質問題の根本原因を明らかにし、それに対する的確な対策を講じるための手法です。
5Mは次の5つの頭文字を取ったものです。
- Man:人
- Machine:機械・設備
- Method:方法
- Material:原料と材料
- Measurement:測定・検査
- Environment:環境
6Mでは「マネジメント(Management)」が加わります。
5M・6M分析では、品質問題や不良発生の要因を上記の要素に分解し、「品質にどのような影響を与えているか」をチェックします。具体的なチェック項目は材料の品質や仕様、製造方法や工程の適正性、機械や設備の性能や保守状態、技術やトレーニング、測定手法や検査の信頼性、環境条件などです。
分析結果に基づいて、問題の原因を特定し改善策を立案します。例えば、材料の不良が問題の原因であれば、供給元の品質管理や仕様の再評価を行います。機械の故障が原因であれば、予防保全活動やメンテナンススケジュールの見直しなどが考えられます。人の技術不足が問題であれば、教育・訓練プログラムの充実や適切な人員配置などを検討します。
このように、5M・6M分析は品質問題の根本原因を明らかにし、それに対する的確な対策を講じるための手法です。
「AVEVA Plant SCADA」で品質管理向上を実現
品質管理は企業の信頼に直結するものです。特に日本の製品は、海外からクオリティの高さを期待されることが多いです。そのため、海外の企業に自社の製品を紹介する場合、製品の質をできる限り高めることが大切になるでしょう。
そこで品質管理におすすめなのが「AVEVA Plant SCADA」です。AVEVA Plant SCADAのProcess Analyst機能を使用すれば、リアルタイムデータを視覚的に比較でき、傾向を正しく把握できます。
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